ロードバイクを購入して、まず最初にカスタムするパーツはホイールと言われています。

回転体であるホイールやタイヤの軽量化は、その他の部分の軽量化よりも効果が大きく、もっとも体感しやすいカスタムとも言えます。

初めてのカスタムホイールとして候補に挙がってくるのが、フルクラムレーシング3、カンパニョーロゾンダ、シマノwh-rs81、シマノwh-RS500(旧アルテグラ)、マヴィックキシリウムエリート、等々といったところでしょうか。

これらメーカーから発売されているホイールは全て完組ホイールといいますが、手組ホイールはいかがでしょうか?というのがこの記事のメイントピックになります。

ぜひ最後まで読んでいって下さいね。

手組ホイールの魅力

手組ホイールとは、リム、ハブ、スポーク、ニップルを選んで、その人専用のホイールを組み上げる、いわばオーダーメイドのホイールです。

完組ホイールはどんな人が使っても壊れないように安全マージンを大きくとっているので、軽量なホイールにするには高コストにならざるを得ません。

一方手組ホイールであれば、例えば「Aさんは体重が軽いから細めのスポークで本数も減らして軽さ重視でいこう」とか、「Bさんはロングライダーだから、柔らかめで脚にやさしいホイールにしよう」とか、「Cさんは体重が重く、パワーもあって平坦をゴリゴリ走る人だから、軽さよりも剛性を重視しよう」といったようなその人に合わせたチューニングができます。

良いホイールとは何か

良いホイールとは、出来るだけ剛性は高く、リムが軽く、ハブの回転が軽いものが理想です。

ロングライド用では柔らかめに組むこともありますが、基本的には固いほうが良いです。

ホイールの固さを下げると、もっさり感が強くなり、力が逃げていく感覚があります。

その為、ペダルや空気圧、フレームなどで固さを調節したほうが、力の逃げる感覚は少なくなります。

ホイール組みの何が難しいのか

ホイールにはおちょこと呼ばれる左右差があります。

進行方向右側(フリー側)は、スプロケットが付くためにスポークの角度が立っています。

反対に、進行方向左側(反フリー側)は、スポークの角度が寝ます。

近年、リアスプロケの多段化により、さらにおちょこは厳しくなっています。

これにより、スポークのテンションに左右差が生まれ、フリー側のスポークテンションがピンピンに高く、反フリー側がゆるゆるになってしまうので、様々な手を尽くしてスポークテンションの左右差を近づけるのが、手組ホイールビルダーの腕の見せ所ですね。

スポークテンションは(リムやスポークの細さによって変わってきますが)1200kgf・cm≒120N・mが上限で、それ以上テンションをかけるとニップルが破断したり、スポークに伸びが生じたり、リムが割れたり、というリスクが増えますが、テンションを上げた割には乗った時に体感できるホイールの固さや剛性感はあまり変わりません。

破断リスクも低く、剛性感もしっかりある丁度いいバランスが1200kgf・cm≒120N・mという事です。

手組ホイールの性能を高める具体的な方法!

フリー側が120N・m、反フリー側が60N・mで組まれたホイールがあるとします。

このホイールの組み方やスポークの選定によって、フリー側のテンションを下げ、反フリー側のテンションを上げるように工夫をします。

それにより、フリー側が110N・m、反フリー側が70N・mで組めたとします。

そこから更に増し締めをしてフリー側が120N・m、反フリー側が80N・mになれば、元のホイールとは大きく剛性感が変わってきます。(実際の数値とは異なります)

フリー側のテンションを下げる手段

組み本数を少なくする

スポークの組み方には、ラジアル組・4本組(2クロス)・6本組(3クロス)8本組(4クロス)があります。

一般的には36穴・32穴ホイールで8本組

28穴、32穴ホイールで6本組

20穴、24穴、28穴で4本組にします。

これを、フリー側は可能な限り組み本数の少なくなるようにすることで、テンションを下げることができます。

組み本数についてはこちら

スポークを太くする

スポークの番手は、14番・15番・16番などありますが、フリー側はなるべく太目のスポークを使用します。その分重量が重くなるので、どこまでにするかは相談しながらになります。

ハブのフランジ径を大きくする

ハブのフランジ径は決まっているのであとから変更はできませんが、最初から反フリー側よりもフリー側のほうが大きく設計されているハブを選択します。一般的にハイ・ローフランジと言われています。

出典:トライスポーツ

反フリー側のテンションを上げる手段

組み本数を多くする

先ほど同様に組める範囲で組み本数を増やします。

スポークを細くする

なるべく細目のスポークを使用したい所ですが、16番スポーク(太さ1.5mm)は非常に弱く、テンションをかけると簡単に伸びてしまいます。

そこで、エアロスポークを使用します。

エアロスポークとは16番相当のスポークを平たく潰したものですが、その潰す加工によってとても強くなっています。

そのため、テンションを掛けても伸びにくく、かつエアロ効果にも期待できます。

ただし、1本360円と高級なスポークなので、予算との相談になってきます。

結線する

結線はスポークテンションには関係ありませんが、剛性アップには大きく貢献します。

くわしくはこちら

https://note.com/isp/n/n7f34190d694f

まとめ

ハブはハイ・ローフランジのものを使用

フリー側で組本数を少なく、反フリー側で組本数を多く

フリー側に太いスポーク、反フリー側には細いスポークを使用します。

今回は手組ホイールの概要についてざっとお話しましたが、まだまだこれからディープな内容をお伝えしていきます。

次回はスポークの組み方について解説します。