ロードバイクのカスタムは足元からと言われるように、まずはホイールをカスタムする方も多いと思います。

完組ホイールもいいですが、当ブログでは手組みホイールをおすすめしているわけです。

機械いじりが好きな方は、自分で手組みしてみたい!と思う方もいるかもしれません。

この記事ではそんな方向けに、手組みホイールの組み方をノウハウも交えながら細かく解説していきます。

自分でホイール組みができるようになるメリット

たとえ完組ホイールしか使わなくても、振れ取りができるようになるとメリットはあります。

自分でメンテナンスができる

完組ホイールにしろ、手組みホイールにしろ、使っているうちに軽微な振れは出ます。

軽微な振れは自分で修正できれば、余計な出費も抑えられます。

また、サイクリング中にスポーク切れがあった場合、リムが振れてホイールが回らなくなってしまえば、普通は途方に暮れてしまいますよね。

しかし振れ取りの知識があれば、その場で修正して帰る事ができます。

一緒にサイクリングしている仲間を助けることもできるかもしれませんね。

ホイール組みに必要な道具

ホイール組みに必要な道具をご紹介します。

①振れ取り台

DIYで数回しか使わないのであれば、ミノウラの振れ取り台FT-1コンボ(振れ取り台、ホイールセンターゲージ、ニップル回しのセット)が安くておすすめです。


精度が高く、作業性が良いのはPWTの振れ取り台です。値段はややお高めですが・・・

②センターゲージ

DIYレベルであれば上記のミノウラのセンターゲージでも良いのですが、高い精度でセンターを見る場合はホーザンのC-335がおすすめ・・・というか、これ以外にありません。


③ニップル回し

作業スピードが早いのは、こちらの丸いタイプ(コンボセットに付属)


ですが、アルミニップルで高いテンションを掛ける場合は、こちら↓の掴み面が4面のニップル回しでないと簡単にニップルをなめってしまいます。


④テンションメーター

GORIXのテンションメーターは値段の割に精度が高いのでおすすめです。


⑤潤滑油

何でもいいです。極圧性能があるとなお可。

⑥予備のスポーク1本

これがないと少しでもディープなリムは組めません。後述します。

⑦洗濯バサミかクリップ2個

無くても組めますが、あったほうが組みやすいです。

スポークの長さ

スポークの長さはとても重要です。

スポーク長の計算方法はこちらの過去記事で解説しましたが、複数のスポーク長計算機で同じ数値になるか確認したり、可能ならプロショップで長さが合っているか見てもらえると良いですね。

左右同じ組み本数の場合は、2mmほどNDS(ノンドライブサイド)が長くなります。

スポークの長さが長過ぎる場合

ニップルをドン突きまで締め切ってしまうと、衝撃によってスポークが折れやすくなります。

また、経年でスポークテンションは低下しますが、ネジ山を使い切っているとそれ以上の増し締めができません。

スポークの長さが短すぎる場合

ニップルのすり割りよりも短いと、ニップルが割れやすくなります。

詳しくはこちら

ホイールの組み方手順

今回は24hイタリアン4本組で解説します。

おちょこのある後輪のほうが難しいので、後輪で説明します。おちょこについて詳しくはこちら

きちんと後輪が組めれば、前輪は簡単に組めると思います。

ホイールの組み方①ハブにスポークを通す

ハブにスポークを通す際、右落としと左落としという2種類があります。

右落としは、ハブを垂直に持ち、NDS(ノンドライブサイド・反フリー側)のスポークをDS(ドライブサイド・フリー側)に通したスポークの右側の穴にいれます。JISと逆JIS組をする場合は右落としです。

右落とし

左落としはDSに通したスポークの左側にいれます。イタリアン組と逆イタリアン組では左落としです。

左落とし

JIS、イタリアン組についてはこちらで詳しく解説しています。

右落とし、左落としを間違えると、バルブ跨ぎをおこします。

バルブ跨ぎとは、スポークは4本で1セットで、セットとセットの間にバルブ穴があるのが正常ですが、セットの中にバルブ穴がある状態をバルブ跨ぎといいます。

これでは空気入れの口がスポークにぶつかって空気をいれにくいのと、なによりかっこ悪いです。

バルブ跨ぎについてはこちらの記事に詳しく解説しています。

はい。ここまででも結構な長さになってしまいましたが、まだ組み始めてすらいません(笑)。ここからようやく組み始めます。

今回はイタリアン4本組みですので、左落としです。

NDSのスポークを、穴一つ飛ばしで入れていきます。

次にDSのスポークを同じく一つ穴飛ばしで入れます。

入れ終わったら反転させて、DSのスポークを入れます。このとき、DSとNDSでスポーク長が違いますので、入れ間違えないように気をつけてください。

次にNDSのスポークも入れて、全部のスポークがハブに通りました。

この状態でスポークを大体2つに分け、両手で持ちます。

床に置き、DSのスポークを洗濯バサミかクリップで止めます。

ホイールの組み方②NDSをニップルに通す

リムのバルブ穴を手前側にして置き、真ん中にハブを置きます。

イタリアンで組むので、アウトベンド(内側から外側に通した)スポークを後ろ向き、インベンド(外側から内側に通した)スポークを前向きにします。

このとき、NDSのすべてのインベンドスポークを左に、アウトベンドスポークを右に流しておきます。これを流しておかないと後で苦労します。

4本組は、基準のスポークから4本目のスポークがペアですので、これを交差します。

交差は編みます。

注釈:青がアウトベンド、赤がインベンド

リムのバルブ穴から、右側に穴を一つ飛ばしてからスポークを通して、ニップルを組み始めます。

穴を一つ飛ばしで組んでいきます。

半周ほど組むとニップルが通せなくなります。

その場合は、いらないスポークに後ろからニップルを入れて

このように使うと全周に通すことができます。

NDSを全周通し終わったら、DSの洗濯バサミを外します。

ホイールの組み方③DSをニップルに通す

NDSと同様にアウトベンドスポークを後ろ向き、インベンドスポークを前向きにします。

DSも4本組にするので、基準のアウトベンドスポークから4本目のインベンドスポークがペアです。もちろん編みます。

同様にニップルを組んでいきます。

すべてのニップルをつけ終わったら振れ取り台に乗せます。

一応バルブ跨ぎが起きていないか確認してください。バルブ穴を跨いでいる場合は何かが間違っています。

ホイールの組み方④ニップルとリムの接触面に潤滑油を塗布する

スポークテンションが高くなってくると、ニップルとリムの接触面の摩擦が大きくなって、ニップルを回せなくなります。そのため、接触面にオイルを塗布します。

はみ出た余分なオイルは拭き取っておきます。

スポークおよびニップルのネジ部にはオイルは付かないほうがいいです。ゆるみの原因になります。

ホイールの組み方⑤ニップルの仮合わせ

すべてのニップルをスポークのネジ山が1山見える位置に合わせます。

このとき、スポークの長さが適正であれば、ニップルは簡単に回るものの、スポークはカタカタも動かないくらいのスポークテンションになります。

もしもスポークの長さが長い場合は、この状態でスポークにテンションが全くかからずカタカタします。

逆にスポークの長さが短い場合は、この状態で既にスポークテンションが強く掛かってしまいます。

さらに短すぎる場合は全てのスポークのネジ山が1山に揃える事ができない場合もあります。

ホイールの組み方⑥縦振れを取る

ニップルは半回転ずつ、全体を平均的に締めながら、まずは縦振れをとっていきます。

スポークテンションが高くなってしまってからは縦振れはとりにくくなります。

振れ取り台の縦振れゲージに擦る部分のニップルを少しずつ締めて様子を見ます。

スポークは1本だけ締めるのではなく、ゲージに擦れる部分の前後2~3本も同時に締めます。

ホイールの組み方⑦横振れを取りつつDSのテンションを上げる

ある程度縦振れが取れたら、DSのニップルを締めていき、テンションをあげていきます。

1つのニップルをぐるぐる締めるのではなく、少しずつ全周にわたって締めていきます。

スポークテンションがあがるにつれて、一度にニップルを締める量は、半回転→1/4回転→1/8回転というように少なくなっていきます。

テンションメーターで確認しながら、120kgfまでテンションをかけます。

ホイールの組み方⑧NDSのテンションを上げながら、センターに合わせる

DSのテンションを120kgfまでかけたら、次はNDSを締めていきます。もちろん全周に渡って少しずつ締めていきます。

後輪を組む場合はこのようにDSのテンションを上げてからNDSのテンションを上げますが、前輪は左右均等にテンションを上げてください。

センターを見る時は、最初は両手でリムと振れ取り台の間に指を入れて、おおまかなセンターを見ます。

センターが大体合ってきたら、振れ取り台から外し、センターゲージを当てます。

センターゲージを当てるときは、振れがあると正確に測れないので、振れがない状態で測ります。

あとは微妙な調整です。

横振れを取ると縦振れが出たり、振れ取りに夢中になっているとセンターがずれたりするので、すべてのバランスを確認しながら、最大の妥協点を探っていく感じになります。

こだわりだすとキリがないですが、縦振れ横振れともに0.5mm以下になれば問題ありません。

まとめ

かなり長い文になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。

ホイール組み上達のコツはとにかく沢山の本数を組むことです。振れ取りのコツは文字にして伝えづらいものがあり、感覚で覚えていく部分が多いです。

コツが分かってくると、出先でのスポーク折れのトラブルに対応もできたり、サイクリング仲間を助けたりもできます。

ぜひチャレンジしてみてくださいね!