バルブまたぎとは

前回の手組みホイールの記事の中に出てきた、バルブまたぎについて少し掘り下げて解説します。

まだ読んでいない方は先にお読みください。

バルブまたぎとは、このように左右のスポーク4本セットの中にバルブがきてしまう状態のことを言います。

赤色:DS 青色:NDS

デメリットととして、空気入れがぶつかって入れにくい、見た目がかっこ悪いというくらいで、構造的に重大な欠陥があるわけではありません。

しかし、バルブまたぎを起こしているホイールというのはいかにも素人くさく、まともに組まれているホイールは1本も見たことがありません。

「ホイールを組める人」には、絶対に忌避される状態と言えます。

右落とし、左落とし

前回の記事で、JIS組みと逆JIS組では右落とし、イタリアン組みと逆イタリアン組みでは左落とし、というように解説しましたが、もう一つ条件があって、正リムのときに限るんですね。

自転車のリムはほとんどが正リムですが、たまに逆リムというものがあり、この場合は右落とし、左落としの関係が逆転します。

下の写真で穴振りがあるのがわかるでしょうか。

真ん中の黒い穴がスポーク穴、ハトメが付いている銀色の穴がニップル穴で、ニップル穴は左右に交互にずらしてあるのが良く見るとわかると思います。

正リム

正リムとは、バルブから進行方向後ろの1本目のスポークが、NDS(左)に来ます。

逆リム

逆リムはその逆で、バルブから進行方向後ろの1本目のスポークがDS(右)に来ます。

正リム、逆リムはスポーク穴の穴振りによって決められているので、逆リムを無理やり正リムとして組んだりはできません。(正リム→逆リムもしかり)

リムに穴振りが無く、ど真ん中にスポーク穴がある場合は正リム逆リムどちらでも組めますが、混乱するので正リムとして組んだほうが良いでしょう。

ここまでを表にまとめます。

正リム逆リム
JIS組み、逆JIS組み右落とし左落とし
イタリアン組み、逆イタリアン組み左落とし右落とし

DS、NDSの組み本数を変えるとさらに逆転する!?

DSを4本組、NDSを6本組する通称ヨンロク組みでは、右落とし、左落としの関係が全て逆転します。

普段は組み本数で考える事が多いのですが、2クロスや3クロスのようにスポークの交差数で考える方法もあります。

4本組=2クロス

6本組=3クロス

8本組=4クロス

10本組=5クロス

のように、組み本数を1/2したものがクロス数になります。

6本組=3クロス

DS、NDSで組み本数を変える場合に、右落とし左落としの関係が逆転するのは、クロス数の奇数、偶数が混ざった場合です。

DS、NDSともに偶数は逆転しません。(例:DS2クロス&NDS4クロス)

DS、NDSともに奇数も逆転しません。(例:DS3クロス&NDS5クロス)

DS偶数、NDS奇数の場合は逆転します。(例:DS2クロス&NDS3クロス、DS4クロス&NDS5クロス)

DS奇数、NDS偶数の場合も逆転します。(例:DS3クロス&NDS4クロス)

あーややこしい。

まとめ

というわけで、バルブまたぎ回避の為に、右落とし、左落としどちらにするのかについて解説しました。

自分のホイールを組む時は、右落とし左落としを間違えても組みなおせばいいだけなのですが、お客さまから時間工賃をいただいて組む場合は、組んだりばらしたり試行錯誤している場合ではありません。

難しいところですね。