ホイールの話、前回からの続きです。

JIS組みやイタリアン組みとは?

タンジェント組みには、JIS、逆JIS、イタリアン、逆イタリアンという4種類の組み方があります。

スポークを内側から外側に通したスポーク(アウト側にベンドしている=アウトベンド)に注目して

右フランジが進行方向後ろ向き、左フランジが進行方向前向きになっているのがJIS組

右フランジが進行方向前向き、左フランジが進行方向後ろ向きになっているのが逆JIS組

左右とも後ろ向きになっているのがイタリアン組

左右とも前向きになっているのが逆イタリアン組になります

組み方の選定方法

これらの組み方をどのような条件の時に使うかは、動力伝達効率やねじれが関係します。

まずは後輪について考えます。

人間の脚によって駆動された力は、チェーンを介してスプロケットを回し、ハブを回転させます。

そしてスポークを引っ張りリムをぶん回して、タイヤが地面を蹴る事で、自転車は前に進むんですね。

ここで、スプロケットに一番近いアウトベンドスポークが最も影響を受けるので、しっかりとリムを引っ張れるように進行方向後ろ向きにしたいわけです。

このアウトベンドスポークが進行方向の前方を向いていたら、力が抜ける方向にかかってしまいますね。

ブレーキング時の挙動

次にブレーキングについて考えてみましょう。

リムブレーキの場合は前後とも共通です。

ブレーキをかけると、①ブレーキシューによってリムを止める力がかかります。

しかし、②ハブはまだ回転を続けようとしているので、これまた③後ろ向きスポークに引っ張られる力がかかります。

したがって、両方のアウトベンドスポークが後ろを向く、イタリアン組みが正解です。

一部例外もあって、ママチャリの場合はホイール脱着の際に、進行方向の概念が無い人が整備する可能性があり、どちら向きに入れられるか分からないので、JISで組みます。

JISであれば、左右を反転させてもスポークの向きは変わりません。

ディスクブレーキの場合はどうでしょうか?

ブレーキングによって、①ハブの回転が止められますが、②リムおよびタイヤはまだ回転を続けようとします

すると③前方を向いているスポークに引っ張られる力がかかりますね。

なので、前輪の場合は両方のアウトベンドスポークが前を向いている逆イタリアン組み、(↓写真はリアハブですが)

後輪の場合はDS(ドライブサイド)は駆動力がかかるので後ろ向き、NDS(ノンドライブサイド)はブレーキング時のねじれがかかるので前向きのJIS組が正解となります。

ちなみに自転車の場合、逆JIS組みをする事はまずありません。

オートバイだとチェーンが左側についているので、逆JISで組みます。詳しくは別記事にて解説します。

実際のロードホイールの組み方手順はこちらをどうぞ

まとめ

いかがでしたか?

こういう観点で世の中のホイールを見てみるとホイール選びが楽しくなりますよね。

また、高級ホイールでも意外と上記のルールに従っていないホイールも散見されます。

しかし、そういったホイールが全てダメかと言うとそういうわけでも無く、違う理論によって組まれているものもあります。

それについてはまた別記事で。

廉価ホイールで上記のルールに従っていないものは、ほぼダメです。残念ながら。

次回はスポークについて詳しく解説します。