前の記事でフリー側4本組、反フリー側6本組をします。と言いましたが、その事について再度詳しく解説します。
おさらいになりますが、外装変速機付きの後輪は、スプロケットがあるためにDSのスポークの角度が立っています。これをおちょこと言います。
(DS:ドライブサイド,フリー側
NDS:ノンドライブサイド,反フリー側)
そして、スポークの角度が立っている為にDSのスポークテンションが高く、NDSのスポークテンションは低くなってしまいます。
更に、多段化の影響により、おちょこ量は増え、スポークテンションの左右差は大きくなるばかりです。
この左右差をあれやこれやで是正していくのが、手組ホイールの腕の見せ所になります。
1:1の反フリーラジアル組はデメリットが大きい
左右同数または1:1組みと呼ばれるホイールは、スポークの本数が左右で同じ数、例えば24hホイールならDS12本、NDS12本というホイールです。
対して、左右異数または2:1組みと呼ばれるホイールは、DSのスポーク数に対してNDSが半分のスポーク数、例えば24hホイールならDS16本、NDS8本というホイールです。
フルクラムやカンパのG3、シマノのオプトバルなどがこれに当たります。
で、特に廉価なホイールに多いのですが、左右同数ホイールでNDS側をラジアルで組んでいる場合があります。これは考えうる限り最悪の組み方です。
前の記事でも紹介しましたが、組み本数を多くすればスポークテンションが上がり、組み本数を少なくすればスポークテンションが下がります。
ただでさえDSはテンションが高く、NDSはテンションが低いのに、DSタンジェント組み、NDSラジアル(0本組)にすればその左右差は広がります。
これを実際に組んでみると分かりますが、DSはスポークテンションをカンカンに張っているのにNDSはゆるゆるで、これはやばいなと感じます。
テンションが低いと振動によって緩みやすくもなります。
では、なぜメーカーがこのような組み方をするのかと言うと、スポーク長が短くなるので重量を軽くする事ができるのと、2:1組みのフルクラムやカンパ、シマノのオプトバルのような高級ホイールに見た目を似せることが出来る為だと思われます。
(2:1のNDSラジアル組みはとても考え抜かれた素晴らしい構造です。別記事にて解説します。)
左右同数であれば、前の記事でも紹介したイソパルスが最適解ですが、手組ではDSをラジアルにできないので、イソパルスに近い組み方になるように工夫するわけですね。
そこでDSをタンジェント組みで一番少ない4本組、NDSはそのスポーク数で出来る最大の組み本数にします。
(20hなら4本組、24hか28hなら6本組、32hか36hなら8本組といった感じです。)
その他にもオフセットリムを使ったり、DS側のスポークを太く、NDS側のスポークを細いものを使う事でさらに左右差を是正することが出来ます。
ハブのハイローフランジも効果がありますが、これは自由に変更できるものではないので、なるべくハイローフランジのハブを選ぶ、といった感じになります。
次回はスポーク長の計算方法を解説します。