ホイールの話、前回からの続きです

この記事ではホイールを構成するパーツの一つ、スポークについて詳しく解説します。

あんな針金どれも一緒なんじゃないの?と思ったら大間違いです。とても奥が深いんですよ。

スポークの種類

スポークにはさまざまな種類があります。

スポークの首元の形状

首元が90度曲がっているJフック(ベンドスポーク)と真っ直ぐなストレートネックがあります。

スポークの太さおよび形状

・一般的なストレートスポーク

・途中で細くなるシングルバテッドスポーク

・真ん中だけ細くなっているダブルバテッドスポーク

・首元が太く、真ん中が細く、ねじ部が普通サイズのトリプルバテッドスポーク

・真ん中が平べったく潰してあるエアロ(扁平)スポーク

があります。

スポークメーカーは星、DTSWISS、SAPIM、ピラーなどがあります。

スポークには規格があり、14番や15番などと表記され、各メーカーで微妙な違いはありますが、同じ太さであれば、重さや強度などは、大体同じ性能です。

スポークの最もスタンダードなサイズがストレートの14番(2.0mm)です。DTSWISSチャンピオン、SAPIMリーダー、星14番など

このスポークが280mmの時、10本で72gでした。

同じくストレートの15番(1.8mm)で同じ長さ、同じ数で58.2gでした。

ということで、1番細い(最も細い、ではなく番手が一つ細い)スポークを使用すると約19%スポークが軽量化できます。

しかし、経験上Jフックスポークで15番は首元が折れやすいです。

そこでバテッドスポークの出番です。

首元とネジ部分は14番、真ん中は15番の太さになっています。

DTSWISSのコンペティション、SAPIMレース、星ダブルバテッドなど

これの重量も計ってみると、280mm、10本で61.8gでした。

つまり約14%の軽量化ができ、強度もほぼ変わりありません。

次に首元とネジ部分が2.0mm、真ん中が16番(1.5mm)のスポークDTSWISSのレボリューションを調べてみます。

280mm、10本で46.3gでした。

なんと約35%もの軽量化ができ、首飛びのリスクも少ないので、さいきょお()に見えるスポークですが、このレボリューション、高いテンションをかけると伸びが発生しやすいスポークなんです。

普通にホイールを組む場合、スポークテンションは1200N・mはかけたいのですが、レボリューションは900Nくらいから伸びが発生します。

体重が軽いライダーで、柔らかめに組むホイールのNDS(反フリー側)であれば使えますが、安全マージンの観点から、あまりおすすめはできません。

次にエアロスポークです。

DTSWISSのエアロライト、SAPIMのCXーRAYは首元とネジ部が2.0mm、扁平部分の幅広方向が2.3mm、幅狭方向が0.9mmとなっています。

一般的なハブ穴は2.5mmなので、このスポークは通ります。

これの重量を調べてみると、280mm、10本で44.7gでした。

こちらは約38%の軽量化が出来ます。厳密には違いますが、レボリューションのバテッド部分を圧延したスポークと捉えて良さそうです。

そしてなんと言っても強度が高いスポークで、レボリューションと同じくらいの重さながら、1200Nほどテンションをかけてもしっかりと受け止められます。

組むときの感触としても、1200N付近で「これ以上張ったら伸びそう」といった不安感もなく、気持ちよく張れます。

ただし、値段が高いです。CX-RAYで1本400円前後、エアロライトは1本480円前後となっており、ふんだんに使用すれば、スポーク代だけで平気で2万円を超えたりします。

太めのエアロスポークで、SAPIM CXがあります。

首元とネジ部が2.0mm、扁平部分の幅広方向が2.8mm、幅狭方向が1.3mmとなっており、スリット入りのハブ穴でないと通りません。

こちらの重量が同条件で69.6gでした。

3%くらい軽いですが、誤差の範囲と捉えても良いかもしれません。

こちらはプレーンスポークを圧延したスポークと考えて良さそうです。

CX-RAYのように、極細スポークでさえ圧延すると1200Nに耐えられるように強度が増しますが、こちらのCXはプレーンスポークを圧延しているので、強度は更に強いものとなっています。

際限なくテンションをかけていくと、リムからニップルがすっぽ抜けるか、ニップルが壊れるか、ハブ穴がちぎれるかで、CXは伸びたりしません。

DTSWISSのエアロコンプというエアロスポークもあります。

首元とネジ部が2.0mm、扁平部分の幅広方向が2.3mm、幅狭方向が1.2mmとなっております。

実際に手にしたことがないので、メーカーの公称値しかありませんが、264mmが64本で380gとのことです。

計算上は280mmが10本で62.9gとなります。

約13%軽いことになるので、コンペティションを圧延したものとみて良さそうです。

シングルバテッドスポークとして、SAPIMのストロングというスポークがあります。

首元だけ2.3mmでそれ以外が2.0mmとなっています。

重量は同条件で73.3gでした。

2%くらい重いですが、強度は高いです。MTBやBMX、体重の大きいスプリンターなど、ハードな使用をされるホイールに用います。

CXも強いならどう違うの?と疑問に思うかもしれません。

CXは引張強度が高いのですが、横方向および圧縮方向には断面が丸いスポークと比べると弱いです。

その為、大きな衝撃がかかるホイールにはエアロスポークより丸スポークを使ったほうが良いです。

スポークの重量に関しては、見やすいように表をつくりました。これは私自身の備忘録でもあります。

丸スポークエアロスポーク
比重100%チャンピオンリーダーCX
比重85%コンペティションレースエアロコンプ
比重65%レボリューションエアロライトCX-RAY
赤色:DTSWISS青色:SAPIM

このように、スポーク一つとってもさまざまな種類があり、よりよいホイールを作るために、ライダーの脚質や使用用途、ホイールの組み方などによって、どのスポークを使うかの選定が大事になってきます。

次回はフルクラム・カンパニョーロホイールについて解説します