自転車に乗っていてパンクさせてしまった経験はありますか?

自転車通学をしていた方は、おそらくほぼ全員パンクの経験があるのではないでしょうか。

しかも急いでいる時や自宅から遠い場所でなど、なんで今?と思うようなタイミングに限ってパンクするものです。

この記事ではパンクの原因と、自宅でできるパンク修理の方法を解説します。

また、この記事では一般車のパンク修理方法を紹介しており、ロードバイクなど細いタイヤチューブの場合は、パンク修理せずにチューブを交換した方が良いです。

パンクの原因

パンクの原因は空気圧不足が圧倒的大多数です。

私が自転車店で働いていたころ、パンク修理でお預かりする自転車の9割は空気圧不足が原因のものでした。

新車も年に数百台売っていましたが、買ってすぐにパンクしたと持ち込む人は年に1件あるかないかでした。

もし全てのパンクの原因が鋭利な異物だったとしたら、同様のお申し出はもっと多いはずですよね。

という訳で、パンクを起こす最も大きな要素は空気圧不足なので、それを防ぐために1か月に1回は空気を入れるのが理想です。

ほとんどの自転車屋さんでは無料で空気入れを貸してくれるはずです。

空気圧が低いときタイヤでは何が起こっているのか

①リム打ちする

段差に乗り上げた時、空気圧が低いと地面とリムにチューブが挟まれて、穴が開きます。

チューブに八の字に2つの穴が開くのが特徴です。

タイヤが新しかろうが古かろうが関係ありません。

②チューブがタイヤの中で寄る

バルブ口付近はバルブロックナットによって固定されていますが、空気圧が低いと中のチューブが押しつぶされ、順繰りに前側に押しやられることによって、バルブ口付近に溜まります。

チューブが折り返されるような感じになるので、折り目からパンクします。

最悪、バルブが根本から折れます。

こうなるとパンク修理は不可能なので、チューブ交換となり修理代が高額になります。

パンクしたまま乗って走っているとほぼ確実にこれになるので、パンクに気が付いたら自転車を降りて押してあげてください。

③チューブが摩耗する

空気圧が低いとタイヤとチューブがこすれ合わされ、チューブが負けてボロボロになります。

ボロボロになったチューブはパンクしやすいですし、パンク修理が不可能なので以下同文。

④そもそも異物に弱くなる

タイヤに空気がパンパンに入っていれば硬くなるので、多少の異物(小石など)は弾き飛ばせるのですが、空気圧が低いと弾き飛ばすことができずに簡単に貫通し突き刺さってしまいます。

空気が入っていてもパンクするケース

前輪よりも後輪がパンクしやすい傾向にあります。

地面に落ちている異物を前輪で踏んだ瞬間に跳ねあがり、跳ねあがったものを後輪で踏む事になるので、後輪の方がパンクしやすいんですね。

ちなみに車やバイクでも同様の事が言えます。

パンクしたチューブを点検したら、リム側に穴が開いていることがあります。

その場合は、リムテープがずれていてニップルが露出していたり、リムのつなぎ目のバリが原因だったりします。

バルブ形状の違い

左から順に英式、仏式、米式

英式

ママチャリなどに採用され、最も普及しているバルブ形式です。

虫ゴムが弱く、これが原因でよく空気が抜けるので、年に1度の交換が推奨です。

こちらのスーパーバルブは耐久性に優れ、虫ゴムの弱点をほぼ完璧に克服しています。


仏式

ロードバイクやクロスバイクなどスポーツバイクに採用されています。

軽量で高圧の空気を入れる事ができる反面、空気抜けが早いバルブ形状です。

ロードバイクのような細いタイヤ/チューブでは、入っている空気の量も少ない為、さらに空気圧の低下が早いので、頻繁な空気入れが必須です。

米式

一部のマウンテンバイク、BMX、ビーチクルーザーに採用されています。

構造的に重いのですが、比較的空気の抜けにくいバルブ形式です。

車やバイクのバルブ形状と共通なので、ガソリンスタンドでも空気を入れられます。

パンクかどうかの判別方法

タイヤの空気が抜けているのを発見したら、まずは空気を入れてみます。

バルブナットが緩んでいることがあるので、しっかり締めてから空気をいれてください。

シューと音を立てながら直ぐに空気が抜けてしまう場合は100%パンクしています。

2〜3日かけてゆっくり抜ける場合、小さい穴が開いているスローパンクか、虫ゴムの不良です。

正常な虫ゴム

穴が開いていて交換が必要な虫ゴム

空気を入れて1週間変化が無い場合は、パンクの可能性は低いです。

冬の間ずっと乗っていなくて、春先に乗ろうと思ったら空気が無くなっていたので、パンクだと思って自転車屋に持ち込む方もいらっしゃいますが、パンクじゃなくて空気が抜けただけというのはよくあります。

パンク修理ができないケース

・バーストなど大きな穴が開いたもの

目安としては5mm以上の穴で、コンプレッサーで一気に空気を入れても即座に抜けてしまい、チューブが膨らまない場合は、穴が大きすぎるのでパンク修理パッチでは対応できません。

・タイヤが寿命の場合

タイヤに穴が開いていたり、古くてヒビだらけの場合は交換が必要なので、ホイール周りを全て脱着することになります。

チューブもゴム製品なので当然劣化します。パンク修理して使いまわしても、またすぐにパンクする可能性があるので、タイヤとセットで交換します。

・バルブ付近に穴がある場合

パンク修理パッチはしっかり密着させる必要があるため、貼り付ける時にぐりぐり押し付けたりハンマーで叩いたりしますが、バルブ付近ではそれができません。

パンク修理剤・シーラントってどうよ


ロードバイクのチューブレスタイヤに入れるシーラントは置いておいて、ママチャリにパンク修理シーラントを入れるのは、あまりおすすめしません。

某有名な自転車量販店で自転車を買うと、必ずパンク修理剤をおすすめされますが、あれは会社利益のためであって、お客様のためではありません。

パンク修理剤の原理は、パンクしたときにチューブ内部の空気がパンク穴から外に出る力を利用して、ドロドロの液体がパンク穴に詰まることで、その穴を塞ぎます。

ですので、空気圧が低いとうまくパンク穴を塞ぐことが出来ません。

パンクさせる人のほとんどは空気入れをさぼった事によるものなので、パンク修理剤が効かない事が多いんですね。

一応パンクに気が付いた時に空気を入れれば、パンク修理剤が効いて穴が塞がる事がありますが、大体の人は「パンク修理剤が入っているから勝手に直るんだ」と思って、そのまま乗り続けてチューブを駄目にします。

販売店からすれば、チューブ交換すれば工賃をもらえるので、販売時と修理時で二度おいしい訳ですね。

しっかり空気圧管理していればパンク穴を塞いでくれますが、そもそもちゃんと空気が入っていれば滅多にパンクなんてするものではありません。なんやねんこの商品

販売時にここまで説明していればいいのですが、こんなにだらだらと説明はしないでしょうし、もし説明したとしてもお客様が覚えていません。うーむ。

パンク修理のやり方

パンク修理のやり方を順番に解説します。

必要なもの

バケツやたらい

空気入れ

ゴムのり

パッチ

タイヤレバー

紙やすり

10mmスパナかメガネレンチ

ウエスや雑巾

油性マジックペン(白だとやりやすい)

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) OFパンク修理セットDX Y-3451
価格:832円(税込、送料別) (2022/2/14時点)


チューブを取り出す

虫ゴムを取り外して空気を完全に抜き、固定ナットも取り外します。

次にタイヤレバーを使ってビードを起こして、中のチューブを引っ張り出します。

前輪の場合はホイールを取り外した方が早いかもしれません。

パンク箇所を特定する

虫ゴムを着けて空気を入れ、バケツに張った水に漬けます。

すると穴が開いている箇所から空気がブクブクと出てきます。

ウエスで水分を拭き取り、マジックペンでパンク穴のある所に印をつけます。

このように十字に印を付けるとやすりを掛けても穴を見失いません。

やすりをかけ、ゴムのりを塗る

空気を抜き、パンク穴の周辺に紙やすりをかけます。

密着性を高めるのと、山を削って平らにならす為です。

次にパッチよりも一回り大きい範囲にゴムのりを、薄く均一に塗ります。

ムラがあるとパッチがうまく貼れません。

ゴムのりを乾燥させる

ゴムのりをよく乾燥させます。生乾きだとパッチがうまく貼れません。

息を吹きかけて乾燥させてもいいのですが、ゴムのりの溶剤は身体に悪いので、吸い過ぎ注意です。

乾燥に時間がかかるので、待ち時間にタイヤに異物が刺さったままになっていないか、リムテープがズレていないかを確認します。

パッチを貼る

パッチの銀紙を剥がし、ゴムのりを塗った箇所にそっと乗せます。

チューブを床に置き、タイヤレバーをぐりぐり押し当てて密着させます。プラスチックハンマーがある場合は軽く叩いても良いです。

次に透明の剥離フィルムを剥がし、パッチが密着していることを確認します。

もしパッチのフチが少しでも剥がれていたら、全部剥がしてやすり掛けからやり直しです。

再確認

虫ゴムを取り付け、空気を入れて、再度水につけて調べます。黒いバケツで見づらくてすいません。

大きなパンクを塞いだら、小さいパンクが別に見つかることもあります。

タイヤ・チューブをもとに戻す

バルブをホイールに通し、タイヤにチューブを収めます。この時、チューブがねじれないように注意します。

もしねじれていると、折り目からまたパンクすることがあります。

ビードを上げて、タイヤをもとに戻します。

空気を入れて完成!

空気を入れる前に、必ずバルブを押します。これをしないとこのように

ビードとチューブが噛んでバーストすることがあります。

確認できたら虫ゴムを取り付け、空気を入れて完成です。

まとめ

かなり長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

パンク修理を覚えておくと、修理代の節約になったり、家族の自転車がパンクした時に直してあげたりと何かと役に立ちます。

ぜひトライしてみてくださいね!