ニップルにはさまざまな種類があります。完組ホイールは専用ニップルが使われているものも多いので、全てを網羅することはできません。
今回は手組ホイールで使用するニップルについて掘り下げていきます。
全部同じように見えるかもしれませんが、とんでもありません。さまざまな種類があるんですよ。
もくじ
ニップルの材質について
まず、ニップルの材質は、ブラス(真鍮)製とアルミ製があります。
ざっくり言うとブラス製は重い強い、アルミ製は軽い弱い、といった特徴です。あとアルミはアルマイトカラーが色々選べます。
アルミニップルは基本的に弱いのですが、DTSWISSのアルミニップルはロードバイクに使用する分には問題ない強度があります。
それ以外のメーカーのアルミニップルは破断に弱い、というか高スポークテンションに耐えられない印象です。
ブラス製ニップルは全然壊れないのかというとそういう訳でもなく、ママチャリは基本的にブラス製ニップルが使われますが、ニップルをバンバン折ってくる方は結構います。
スポーク長が短いとニップルが折れやすい傾向にあります。
この図の通り、スポークを引っ張る力がニップルを破断させます。
ママチャリはリムの内側にニップルの頭が出ているので、スポークがニップルよりも飛び出すとチューブをパンクさせるため、やや短めのスポークを使用せざるを得ないという事情もあります。
真鍮製・アルミ製それぞれの重さの違い
重さはブラス製が大体1個1g、アルミ製が3個で1gです。
大したことない数字に思えますが、前後とも32本のホイールだと、全部で64個のニップルが使われることになり、ブラス製だと64g、アルミ製だと21gとなり、その差は43gになります。
外周部が43g重くなると加速や登坂時に結構効いてきます。
オフロードで使うとか、体重が120kgあるとか、日本一周に使用するといった極端な例以外は、アルミニップルで問題ありません。
ニップルの長さ
ニップルにはショートタイプとロングタイプがあります。
普通はショートタイプが使われます。ロングニップルが使用されるのは以下の2パターンのみで、それ以外では極力使いたくありません。
なぜなら、工具を掛ける部分とネジ山およびリムとの摺動面が遠いので、舐めりやすい傾向にあるためです。
①リムの厚みが大きい場合
カーボンリムの一部にはリムが非常に厚く、ショートニップルでは掴む部分が全部露出しない物もあります。その場合はロングニップルを使わざるを得ません。
②スポークの長さが少し足りない場合
ロングニップルはネジ山の長さが長いので(一部メーカーを除く)、スポークの代替品が無いなどの理由で、かつスポーク長さが少し足りない時に、やむを得ず使うことがあります。
アルミニップルの回し方
ニップル回しは通常このような
タイプが用いられますが、ちょっと油断するとあっさり舐めてしまいます。工具をきっちり奥まで噛ませることが重要です。
ちょっとでも舐めてしまったアルミニップルは、どんどん掴みしろが削れてしまうので交換するしかありません。
ブラスニップルであれば、多少舐めてしまったくらいでもまだ使えることがあります。
こちらのニップル回しは掴みしろが4面あるので、アルミニップルでも舐めにくいです。
手組ホイールをアルミニップルで組む場合、リムとニップルの摺動面の摩擦が非常に大きく、何も対策をしないで組むと120kgfのテンションをかけるまえにニップルが舐めってしまいます。
この辺については過去記事で詳しく解説しています。