ステムの種類・歴史

昔は、自転車のステムの種類はスレッドステムという物しかありませんでした。

このスレッドステムは、構造が単純で耐久性も高く、コストも抑えられる事から現在でもママチャリに広く使用されています。

しかしサイズが直径が1インチ(25.4mm)と細い為、剛性が低いことから現在ではロードバイクを始めとしてスポーツバイクにはほとんど採用されません。

現在主流なのはアヘッドステムです。

アヘッドステムは大径化が容易なので、剛性を高めやすい反面、しっかりとした知識をもって整備しないと、ガタが取れなかったり、ゆるみが発生しやすかったりと危険な状態になります。

フォークのガタとは

前ブレーキを掛けた状態で車体を前後にゆすった時に前後にフォークとフレームの隙間がガコガコと動く状態をガタがあると言います。

この状態で乗ると、ブレーキングの度に前後に車体がゆすられ、段々とガタが大きくなってきます。ヘッドベアリングの偏摩耗も誘発し、大変危険です。

この記事ではアヘッドステムの調整方法と注意点について解説します。

フロントフォークの素材

まず、フロントフォークの素材には

・鉄やアルミなどの金属

・アルミ&カーボンハイブリッド

・フルカーボン

という3種類に分けられます。

金属製のフォークにはスターファングルナットと呼ばれるアンカーが圧入されており、これはほとんどトラブルになることはありません。

メーカーカタログにはカーボンフォークと記載されていても、カーボンなのはフォークの肩からブレードの先までで、コラム自体はアルミでできている、ハイブリッドなものもあります。

これもスターファングルナットを使用するのであまり問題にはなりません。

問題なのはコラム部分まで全てカーボンでできているフォークです。

こちらにはプレッシャーアンカーと呼ばれるものが挿入されますが、このプレッシャーアンカーの固定が甘くてフォークのガタが取れない車両が散見されます。

アヘッドステムの仕組み

アヘッドステムはこのように

トップキャップを締めると、スターファングルナットまたはプレッシャーアンカーを介してフォークが引き上げられ、ヘッドベアリングを圧縮することで、ガタが無くハンドルがスムーズに回るちょうど良い位置でステムを固定することができます。

スターファングルナットは一度挿入してしまえばズレることはほとんどありません。

しかし、プレッシャーアンカーはこのように

コラム内壁との摩擦力のみで固定されていますので、締め付けが甘いと上にずり上がってしまい、フォークを引き上げる事ができません。

その結果、フォークのガタが取れなくなってしまうんですね。

コラムまでフルカーボンのフロントフォークだと、強く締め付けすぎると割れてしまうので、怖がって慎重に締める人が多いです。結果、固定力が不足してしまうんですね。

ほとんどのプレッシャーアンカーには指定トルクが書いてあるので、トルクレンチを使用して指定トルクで締めると良いですが、たまに指定トルクで締めても、なお固定力が足りないものがあります。

その場合は滑り止めのグリス(ファイバーグリップ)を塗布すると良いでしょう。


しっかり固定されたかどうかの確認方法は、一度ステムを組み付け、トップキャップを指定トルクで締め付けた後に、再度ステムを外してみます。

その際にプレッシャーアンカーがコラムから少しでも浮いていれば固定力不足ですので、再度しっかりプレッシャーアンカーを締め付けましょう。

まとめ

いかがでしたか?

フロントフォーク周りの整備は十分な知識が必要で、よくわからずに分解すると危険な状態にもなり得ます。

自信がなければプロショップにお願いしましょう。