ロードバイクに採用されるタイヤシステムは、クリンチャー、チューブレス、チューブラーがあります。

クリンチャー

最も普及しているタイヤシステムです。

初心者でもタイヤ・チューブ交換が容易で、交換後もすぐに走り出せます。

リムの断面はこのようになっており、タイヤのワイヤービードがリムに乗っかっているので、ワイヤードオン(WO)と呼ばれます。

チューブレス

クリンチャーに似ていますが、チューブを必要としません。

転がり抵抗が少なく、乗り心地が良いとされています。

パンクした場合、中にチューブを入れて走ることもできます。

リムの断面はこのようになっています。突起部分をハンプといい、この部分にビードがしっかり嵌まることで、チューブが無くても空気を保持できます。

”チューブレスレディ”と記載があるものは、シーラントを注入しないと空気を保持できません。

チューブレスタイヤが中々浸透しない理由の一つが、非常にビードが固く、脱着する時に苦労するものが多い事が挙げられます。

装着するときも、急速に空気をいれないとビードがリムにはまらなかったりと、初心者の方にはあまりおすすめできません。

チューブラー

タイヤの中にチューブが入っており、専用の接着剤で張り付けるタイヤシステムです。

クリンチャーやチューブレスは、空気を入れたときにタイヤが膨張する力をリムが受け止めなければならないので、頑丈に作る必要があるためリムが重くなります。

一方チューブラーはタイヤがリムに乗っかっているだけなので、リムを軽くすることができます。

タイヤシステムの徹底比較

とまぁ、ここまでだったらgoogle検索すれば大体調べられるのですが、ここからが本題です。

ホイールの性能はリムの良し悪しでほとんどが決まります。

リムはなるべく軽く、リムハイトが高く、剛性が高いものが理想です。

しかし、「軽さ」と「リムハイト&剛性」はトレードオフの関係にあります。(あちらを立てればこちらが立たず)

クリンチャーリムの素材の違い

クリンチャーリムでローハイトの場合、アルミでもフルカーボンでも重量はあまり変わりません。

先ほども説明したように、タイヤが膨張する力をリムが受け止める必要があり、カーボンの積層を増やして強度を確保した結果、アルミと大差なくなってしまうんですね。

参考までに、TNIのAL300というリムは、アルミ製でリムハイト30mmで460g前後、値段は1本4,600円です。

ROAD35TLというフルカーボンクリンチャーリムはリムハイト35mmで430g前後、値段は1本39,000円です。

リムハイトは5mm違うものの、たった30gに34,400円も出すのはコスパが悪いですね。

カーボンリムの場合、ブレーキシューもカーボン用のものを使う必要もありますし、衝撃にも弱くなります。

アルミリムでタイヤをハイグレードのものに変えたほうがコスパは良さそうです。

クリンチャーディープリムはどう?

ブレーキゾーンだけアルミで、カーボンフードをかぶせているリムもあります。(画像右側)

出典:SHIMANO

リムハイト/重量比は軽く抑えられ、重量物であるニップルが内周部に配置できるのは利点です。アルミリムなので、普通のブレーキシューを使えるのも良いですね。

しかし、カーボンとアルミの継ぎ目が弱く、剥離を起こしやすいです。

シマノのカーボンラミネートリムはよくできていると思います。

出典:SHIMANO

ブレーキゾーンがアルミで、ニップル部分にカーボンラミネートを施すことで、強度を担保しています。

c35とc24がラミネート加工になっていますが、c50はカーボンフードになっています。

シマノホイールは、フロントが16hで極細スポークで支えているので、c50やc35はともかく、c24は体重の大きいライダーにあまりおすすめできません。


MAVICにローハイトアルミリムに向こうが透けて見えそうなほど薄いカーボンフードをかぶせたものがありますが、重量物のニップルからアルミリムまで全て外周部にあるので、性能としては普通のローハイトリムと同程度です。残念ながら駄作といわざるを得ません。

この構造だと自作できそうな気もしてきますね。

カーボンチューブラーはgood

次にチューブラーのリムを見てみましょう(画像左側)

出典:SHIMANO

チューブラーのカーボンリムは非常に軽量です。

アルミチューブラーリムとカーボンチューブラーリムを比較しても、大きく差があります。

例えば、アルミチューブラーリムのTNI CX22TUは415g(リム単品4,200円)、フルカーボンリムのシマノデュラエースc24TUは250g(ホイール完組 フロントで106,322円)です。

値段差はかなりありますが、これぐらい重量差があれば、納得の値段差です。

チューブラータイヤの残念な点

私もチューブラーホイールは使っていたことがあったのですが、今はクリンチャーを使っています。

その大きな理由はチューブラータイヤが高いからです。

安いチューブラータイヤであれば3,000円ほどからありますが、グリップや転がり抵抗などの性能の低さは否めません。

高性能のチューブラータイヤは1本10,000~15,000円前後にもなり、しかも1度パンクしたら即交換となります。とても普段使いはできませんね。

クリンチャータイヤの場合、ハイエンドでも1本8,000円程度です。

その上パンクをしても大きなダメージがなければ、チューブを交換してまた使えます。

クリンチャーVSチューブラー重量比較

私がチューブラーを使わなくなった理由はそれだけではありません。ハイエンドクリンチャーと安いチューブラーのリムとタイヤの重量を比較してみましょう。

・ハイエンドクリンチャータイヤ(コンチネンタルスーパーソニック)+軽量ラテックスチューブ+アルミリム(TNI AL22)の場合

タイヤ180g+チューブ50g+リム390g+リムテープ8g=628g

・安いチューブラータイヤ+ミヤタチューブラーテープ+デュラエースホイールwh-9000-c24-tuの場合

タイヤ300g+テープ20g+リム250g=570g

その差は58gでした。

意外と差が少ないですよね

安チューブラータイヤのほうが外周部が重くなるので、乗った感触はさらに不利です。

もしチューブラータイヤにシーラントを入れたらチューブラータイヤのほうが重くなってしまいます。

以上のことから、チューブラーホイールを使用する場合は、ケチって安いタイヤを使うとクリンチャーに追い越されてしまいかねないので、少し良いタイヤをおすすめします。

クリンチャーでも軽量なものにこだわれば、チューブラーに肉薄できるということですね。

チューブレス?なにそれおいしいの?

チューブレスはどうでしょうか?

チューブが入っていない分軽いのかと思いきや、ハイエンドチューブレスタイヤでも250gくらいはあります。

タイヤ自体が空気を保持しなければならないので、クリンチャータイヤ+チューブと同じくらいの重さになってしまいます。

更にチューブレスレディの場合はシーラントを入れる必要があるので、完全にクリンチャーよりも重いシステムになってしまいます。

いくら転がり抵抗と乗り心地が良いと言っても、

・重い

・交換がめんどくさい

・クリンチャーより割高

となれば使う理由はあまりありません。

という訳で私は”ロードバイクでは”チューブレスを使用した事がありません。

マウンテンバイクや今流行りのグラベルロードではチューブレスのほうがいいと思います。

まとめ

という事でホビーライダーの普段使いはアルミクリンチャーリムのホイールをおすすめします。
ディープリムホイールが欲しい場合は、クリンチャーではなく、チューブラーをおすすめします。

超軽量ホイールが欲しい場合もチューブラーがいいですね。